留学の際の保険に入った方がいい理由の解説

留学先で病気やけがに、そのほか何か起こった際の転ばぬ杖として

留学の際の保険

留学先で病気になったらどうしよう?

留学先で誰かにケガをさせてしまったらどうしよう?

 

留学を考える場合に問題となるのが留学保険。普通の海外旅行では、あまり保険に加入しなくてもなんとかなってしまった経験をもつ人が多いかもしれません。

しかし留学となると別。海外旅行より長い期間日本国外に滞在し、現地で「生活」することになるからです。留学している期間に高額な費用が発生するトラブルに巻き込まれたときどのように対処したら良いのかという問題が、常につきまとっているのです。

 

「留学保険なんて高いから入らなくていいや 」と考えていませんか ? あるいは、留学保険の保険料高さに「何か騙されているのでは・・・・」と不安になっていませんか ?

 

実際に1年間の留学を経験した筆者も、はじめは保険料の高さに加入を躊躇しました。それでも滞在中の病気で現地の提携病院に行ったとき、日本語が通じる病院を案内してもらえること、そしてキャッシュレスで診てもらえることにとても安心したのです。

 

今回は留学保険への加入を迷っている方のために、一般的な海外旅行保険やクレジットカードについている海外旅行保険と留学保険の違い、および留学の際に保険に入った方が良い理由を解説しましょう。

 

留学保険ってなに?


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そもそも留学保険とはどのような保険なのでしょうか?

大雑把に言ってしまえば、留学生を対象とした海外旅行保険プランです 。

 

通常の海外旅行保険が保証期間を短期間に設定している一方で、留学保険は海外での長期滞在を想定しています。その分、留学保険の補償内容は非常に多岐にわたります。

 

留学保険の補償内容


 

では具体的に留学保険の補償内容をざっと見てみましょう。

 

 

    • 一般的な病気や怪我で治療入院が必要になった場合

 

    • 留学中の病気や怪我が原因で亡くなってしまった場合

 

    • 留学中の怪我が原因で後遺障害が残ってしまった場合

 

    • 飛行機が何らかの理由で欠航したときに予定外のホテル代が発生した場合

 

    • 飛行機に乗る際に預けた手荷物が届かず、身の回り品を買わざるを得なくなった場合

 

    • 他人に怪我や損害を与えて法律上の賠償責任を負った場合

 

    • 携帯電話やパソコンが盗まれた場合

 

    • 宿泊している部屋やマンションの失火により賠償責任を負担しなければならない場合

 

    • 宿泊している施設で自分が所有する家財が盗難など偶然の事故によって損害を受けた場合

 

    • 日本国内にいる家族が亡くなったり危篤になったりして一時帰国しなければならない場合(オプション)

 


 

通常の海外旅行ではあまり考えない宿泊している施設の出火責任や家財の盗難、一時帰国費用までカバーされていることがお分かりでしょうか。

それでは、以降の項目で一般的な海外旅行保険やクレジットカードについている海外旅行保険との違いをもっと詳しく見ていきましょう。

 

留学保険と一般的な海外旅行保険に出てくる用語


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留学保険と一般的な海外旅行保険の違いを比較する前に、まず補償内容に関する用語を確認しましょう。 ざっくりでも用語を知っておけば、保険内容や保険プランを簡単に比較できるからです。(細かい表現は保険会社によって異なるので「なんとなくこういう補償があるのね」くらいで構いません)

 

傷害

旅行中あるいは留学中に交通事故やスポーツなどで怪我をしたり階段から落ちて骨折した場合などに補償されます

 

疾病

旅行中あるいは留学中に病気になり、治療・入院・手術を受けた場合に補償されます

 

救援費用

旅行中あるいは留学中の病気やケガにより、滞在先で保険会社の指定する日数以上(3日以上が多い)の入院をした場合に、日本から家族が駆けつけた場合に補償されます

 

傷害死亡

旅行中あるいは留学中の怪我が原因で亡くなった場合に補償されます

 

傷害後遺障害

旅行中あるいは留学中の怪我が原因で後遺障害が生じた場合に補償されます

 

疾病死亡

旅行中あるいは留学中の病気が原因で亡くなった場合に補償されます

 

携行品

旅行中に持ち物を盗まれたり誤ってカメラやスマートフォンを落として壊してしまった場合に補償されます

 

賠償責任

旅行中あるいは留学中に宿泊施設の設備を壊すなどして損害賠償責任を負った場合に補償されます

 

航空機遅延

悪天候や機体の異常などにより、乗る予定の飛行機が欠航し予定外のホテル代が発生した場合に補償されます

 

航空機寄託手荷物遅延

飛行機に乗るときに預けた手荷物が飛行機が到着して6時間以上経っても目的地に届かず、身の回り品を買った場合に補償されます

 

旅行事故緊急費用

予期しない偶然の事故によって宿泊施設の部屋代を負担した場合に補償されます

 

生活用動産

留学中にスマートフォンが盗まれたり、自分の家財が盗難など偶然の事故によって損害を受けた場合に補償されます

 

緊急一時帰国費用

旅行中あるいは留学中に家族が亡くなったり危篤になったりして、一時帰国しなければならない場合に補償されます

 

留学継続費用

扶養者が事故で死亡または重度の後遺障害を負ったために留学費用を支払えなくなった場合に補償されます

 

留学保険と一般的な海外旅行保険の違い


 

留学保険と一般的な海外旅行保険の補償範囲の違い


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補償内容に関する内容をざっと見ていただいたところで、留学保険と一般的な海外旅行保険の違いを具体的に比較してみましょう。

 

 

留学保険 項目 海外旅行保険
3000万円 傷害死亡 3000万円
3000万円 傷害後遺障害 3000万円
無制限 治療・救援費用 無制限
2000万円 疾病死亡 2000万円
1億円(住居) 賠償責任 1億円(ホテル)
携行品 30万円
100万円 生活用動産
3万円 航空機遅延 3万円
10万円 航空機寄託手荷物遅延 10万円


 

海外旅行保険の「携行品」は持ち歩いていた身の回りのものと「ホテル」に置いておいた身の回りのものを指します。一方、「生活用動産」は「携行品」の強化版で、「住居」に置いてあったパソコンやスーツケースなども補償対象となります。

 

家主に対する損害賠償と生活用動産の補償は留学保険にしかない


 

留学保険と一般的な海外旅行保険の最も大きな違いは、火の不始末などでアパート(住居)の設備に損害を与えてしまい責任を負うことになった場合の賠償責任などが補償されること、そしてアパート内の自分が所有する家財や身の回り品が盗難にあったり損害を受けたりした場合でも補償されるということです。

 

あらためて確認すると、ここでいう生活用動産には宿泊施設内においていたスーツケースやカメラ、時計、自分のパソコンなどが含まれます。一般的にこれらは海外旅行保険にセットされている携行品としては補償されないものですので、長期滞在を前提とした留学保険ならではの項目と言えるでしょう。

 

→ 海外旅行保険について詳しく知りたい方はこちらの記事も役立ちます

 

留学保険とクレジットカード付帯の海外旅行保険の違い


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留学保険とクレジットカード付帯の海外旅行保険の具体的な違い


 

次に、留学保険とクレジットカード付帯の海外旅行保険の違いを見てみましょう。海外旅行に行く人の中には、クレジットカードにもともと海外旅行保険が付いていることを理由に、追加で海外旅行保険に加入しなくてもよいと考える人がいます。

数日程度の海外旅行であればそれでも問題ないかもしれません。しかし留学での長期滞在となると、クレジットカード付帯の海外旅行保険が補償する範囲ではまかないきれない部分が多く出てきます。

 

具体的に比較してみましょう。

留学保険 項目 カード付帯海外旅行保険
3000万円 傷害死亡 2000万円
3000万円 傷害後遺障害
無制限 治療・救援費用 傷害200万円

疾病200万円

救援費用200万円

2000万円疾病死亡—
1億円(住居)賠償責任2000万円(ホテル)
—携行品20万円
100万円生活用動産—
3万円航空機遅延—
10万円航空機寄託手荷物遅延—


 

上の表で挙げたものはクレジットカード付帯海外旅行保険の一例であり、補償内容や補償額はそれぞれのカードで異なります。ただ、いずれのクレジットカードでも、その海外旅行保険には病気で死亡した場合の補償がないことは留学保険との大きな違いといえるでしょう。

 

クレジットカードを持って行きさえすれば保険が適用されるとも限らない


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また、クレジットカードを持って海外旅行に行くだけで保険が適用されるカードと、海外でクレジットカードを実際に使った場合のみ保険が適用されるカードとがあります。

クレジットカードについている海外旅行保険は補償最高額が低い上に、補償されるかどうかも一律に決まっていませんから、長期間の留学を補償するための保険としては心許ないのです。

 

→ VISAカード付帯の海外旅行保険の注意点を知りたい方はこちらの記事が役立ちます

留学中、海外で起こり得るトラブル


 

「自分は大丈夫」?


 

そうは言っても、「そうそう大きなトラブルに巻き込まれたりしないのではないか」と考える方もいるかもしれませんね。 そこで、ある一人の留学生の仮想ストーリーを見てください 。

 

留学生A君の仮想ストーリー


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山梨県に住んでいるA君は、半年の間アメリカに語学留学することに決めました 。アメリカでは滞在費用が抑えられるルームシェアをすることになっており、宿泊先とも半年間の契約が成立しています。

 

出発の日、A君は成田空港に到着しました。この日は台風が近づいていて飛行機の遅れが目につきます。それでも何とかと飛ぶだろうと思い、荷物を持って搭乗を待っていました。

 

ところが、A君の期待に反して欠航のアナウンスが流れます。今から荷物を持って自宅に帰るには交通費が高く、なにより帰ってまた空港に戻って来る時間と労力が惜しまれます。A 君は何とかホテルを手配し、その日はホテルに泊まることになりました。

 

翌日、A君は代わりの飛行機に乗り無事アメリカへと飛び立ちます。 アメリカへ到着すると、宿泊先のオーナーが車で迎えに来てくれていました。アメリカの事を教えてもらいながら宿泊先へと向かいます。

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滞在する建物は小さめのアパートで、3人で1フロアを使う構造になっていました。個別に寝室が用意されていますが、バス・トイレ・キッチン・リビングは共用とのことです。中に入ってみると、リビングで一人の男の子がパソコンで作業をしていました。A君は、リビングにいたB君にアパートの周りのことを色々と教えてもらいました。

 

翌日、A君は語学学校での手続きのため、電車に乗って学校へ向かうことにしました。慣れない土地の地下鉄で、駅の案内を目印に乗り場へと急ぎます。プラットホームで電車を待っていると、誰かがぶつかってきました。

 

学校で手続きをするために鞄を開けたところ、財布がなくなっていることに気づきました。A君は念のため財布を二つに分けており、盗まれた方の財布にはクレジットカードや重要な書類は入れていなかったため、被害は一部の現金のみでした。

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とりあえず必要な手続きを済ませた後、クラス分けテストを受けて学校を出ますが、初日のトラブルで疲れた A君はそのままアパートに帰ることにしました。

 

学校が始まり生活にも少し慣れた頃、A君は久しぶりにお風呂でゆっくりしようと考えました。最近はシャワーばかりだったため、バスタブに湯をはって疲れをとろうと思ったのです。

 

バスタブにお湯をはっている間、A君は学校の宿題をやってしまおうとパソコンを開きました。リスニングの課題で、プログラムの音声を聞いて解答を選択し、提出ボタンを押します。短いリスニング問題と長いリスニング問題が出されています。

 

いくつか解答を終え、次の問題で解答を選択しているとき、ふと水音に気づきました。慌てて音声を一時停止してバスルームに走ります。床は水浸しになっていました。

 

ドアのベルが鳴りました。ドアを開けると、オーナーが部屋に入ってきてバスルームに直行します。聞くと、階下の人から水漏れの連絡を受けたため見に来たとのことです。バスルームの状態を見て、オーナーはため息をつきました。その後の話で、水漏れによる床と天井の修繕費はA君に請求されることになりました。

 

A君がB君に事の次第を説明すると、B君は「お湯をためる文化がさほどないから、バスルームの床は普通の部屋の床をあまり変わらないと思った方がいい」と言いました。

 

その後、A君とB君のフロアに新しい留学生がやって来ます。C君はヨーロッパからの留学生。その夜、A君とB君はC君の歓迎会を行うことにしました。C君を連れて少し歩く距離にあるダイナーへ向かいます。気の良い店主が肉を大盛りで出してくれました。

 

気分良く3人は帰宅するのですが、ここでA君がフロアのドアに鍵がかかっていないことに気づきます。それぞれが自分の持ち物を確認すると、B君もC君も持ち物の一部がなくなっており、A君の場合はカメラがなくなっていました。

 

留学仮想ストーリー内で適用される補償は?


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留学保険と海外旅行保険の補償範囲を見てみよう


 

さて、上のストーリーでA君に様々なトラブルが発生していました。それらのトラブルは、留学保険、一般的な海外旅行保険、クレジットカード付帯の海外旅行保険のそれぞれで補償対象となるのかを確認しましょう。

 

飛行機の欠航 → 予期しないホテル代の発生(航空機遅延)

○ 留学保険(最高2〜3万円)

○ 一般的な海外旅行保険(最高2〜3万円)

× クレジットカード付帯の海外旅行保険

 

持っていた財布を盗まれた(携行品の損害)

○ 留学保険(最高30万円)

○ 一般的な海外旅行保険(最高30万円)

○ クレジットカード付帯の海外旅行保険(カードによって異なるが20万円が目安)

 

バスタブから湯をあふれさせ、近くの部屋に損害を与えてしまった(賠償責任)

○ 留学保険(最高1億円)

× 一般的な海外旅行保険(ホテル内のみ・居住している場合は適用外)

× クレジットカード付帯の海外旅行保険(同上)

 

部屋に置いてあったカメラを盗まれた(生活用動産の損害)

○ 留学保険(最高100万円)

× 一般的な海外旅行保険(ホテル内のみ・居住している場合は適用外)

× クレジットカード付帯の海外旅行保険(同上)

 

海外旅行保険の「賠償責任」はアパートには適用されない!


 

上記の場合、留学保険と一般の海外旅行保険、クレジットカード付帯の海外旅行保険で、補償額に大きな差があるわけではありません。しかし、留学保険以外のものでは生活用動産や家主に対する賠償責任という部分で対応できないことがはっきりしています。

 

一般の海外旅行保険やクレジットカード付帯の海外旅行保険にも賠償責任という項目はありますが、注意する必要があるのは、これがホテルの部屋に関して適用されるということです。

 

留学中に滞在する場所の多くは、ホームステイ先かアパートの類ですよね。ホテルに半年も泊まっていては、それだけで大変な費用になってしまいます。しかし、そうした滞在先は「住居」と見なされます。「ホテル」とは見なされません。

 

「住居」も補償の範囲とする留学保険は、現地で生活しているからこそ起こり得るトラブルを広く補償の対象としているのです。

 

損害賠償は知らんぷりして帰国してしまえばバレない?


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住居の設備を壊してもバレなきゃいい?


 

滞在先のアパートで設備を壊してしまった時、黙っていればバレないだろうと考える留学生もいます。アパートの管理人やオーナーが見回りに来ても、何も壊れていないように振る舞ったり、元々壊れていたかのように偽装するのです。あるいは、もし壊してしまったのが帰国直前であれば、何も知らせずにそのまま帰ってしまう人もいるかもしれません。

 

しかし本当にそれでことは済むのでしょうか?

 

例えば留学生を受け入れている日本のアパートの場合、留学生がアパートの設備を壊してしまい、そのまま帰国してしまった時でも黙って泣き寝入りするオーナーも多いかもしれません。 たとえそうだとしても、それは日本の文化が 積極的に責任を追及しない傾向にあるだけで、 海外では全く事情が異なります。

 

泣き寝入りしてくれる家主は少ない


 

典型的なのはアメリカで、アメリカは裁判の国と言われています。 アメリカは自由の国であるとともに自立と自己責任の国でもあるからです。

 

もし自分が所有するアパートの設備を壊されて、その責任を追及しないまま泣き寝入りをしたとすれば、 その修繕費用を負担するのはもちろんオーナー側です。オーナーが自分のものを壊されて素知らぬふりをされ、その上でオーナー自身が修繕費用を支払うなど、快く受け入れるはずはありません。

 

自己責任の文化であるが故に、修繕費用を負担する責任は壊した側にあると強く主張するのがアメリカですし、そうすることが当たり前。主張せずに泣き寝入りしても、アメリカでは「弱い奴」としか見られないからです。

 

賠償責任の追及は、帰国しても追ってきます。ある事例では、設備を壊されたアパートのオーナーが訴訟を起こし、海外の裁判所から通知が来たといいます。留学保険に加入してその場で賠償責任を負っていれば、留学保険の補償対象となって自費で負担する必要はなかったものが、法的拘束力をもち何倍にもなって迫ってきたのです。

 

「自分は病気やケガなんかしないから留学保険は要らない」?


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「日本で健康だったから自分は大丈夫」?


 

自分は体が丈夫だし、気をつけて生活していれば大きな怪我もしないと考える人もいるでしょう。 そのような考えは大切なことを見落としています。

 

留学は学問のために長期間日本国外に滞在するということです。日本国外に滞在するとは、日本とは異なる気候、衛生状態、治安状態の中で生活するということです。

 

環境の変化による影響は侮れない


 

典型的に言われるのは水です。

日本の場合、水道水を飲んでも体調不良になることはほとんどありません。しかし世界の多くの場所では、水道水はそのまま飲めるものではないのです。

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衛生的ではない水道水をそのまま飲まないにしても、料理に使われている場合はどうでしょう。実際、インドに旅行に行った人が旅行先で食事をし、その日のうちにお腹を壊したという例があります。

 

仮にその国の水道水がそのまま飲んで大丈夫なものだったとしても、硬度の問題を無視することはできません。水の硬度は、そこに含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量で決まります。日本の水は軟水、たとえばヨーロッパの水は硬水または超硬水です。普段ミネラル分の多くない軟水を飲み慣れている人が、突然ある日からミネラル分の多い硬水を日常的に飲むようになると、お腹を壊してしまう場合があります。

 

つまり、日本と同じ感覚で水道水を口に含んでしまい体調を崩すことは、充分あり得るのです。

 

日本で慣れた生活が海外で通用しないことも多い


 

水以外の安全面や衛生状態にも注意が必要です。たとえばニューヨークのマンハッタン。マンハッタンの水道水はわりと綺麗で、現地に住む日本人も「飲めるよ」と言います。

 

しかしマンハッタンで気をつけるべきなのは、公園のリスや地下鉄に住み着いているネズミ。特にリスは日本人にとって「可愛い」と思う動物のひとつですが、マンハッタンのリスは狂犬病を持っているとも言われ、噛みつかれたらすぐに医者に行かなければなりません。

 

また、その土地での「風土病」ともいえる病気があります。日本にはいない虫がいたり、日本にいる虫でも日本ではかかりにくい病原菌を運んでいる場合があります。「自分は大丈夫」などと、日本と同様に考えてはいけないのです。

 

日本語が通じる病院に行きキャッシュレスで診察を受けられる安心感


 

ちなみに、筆者は1年間ニューヨークに滞在したことがありますが、環境の変化で皮膚炎が悪化しました。日本から持って行った塗り薬が底を突いたのも要因のひとつです。

 

眠れないくらい悪化したため、留学保険を提供している保険会社の提携病院に行って症状を説明し、受付で書類を記入します。日本人の内科医が診察してくれて、ニューヨークで手に入る薬でこれまで使っていた薬に近いものを処方してもらいました。

 

病院の診察料はキャッシュレスサービスが適用されたため、支払いなしで直接保険会社に請求。薬代だけは一時立て替えとなり、これが200ドルを越えるものでした。

 

もし診察代と薬代を完全に自己負担したら、この1回の診察で数百ドルが飛んでいくことになったわけです。

 

留学保険がなくても病気やケガは国民健康保険が適用されるけど・・・


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あまり知られていないかもしれませんが、実は海外に滞在中の期間で病気やケガの診察・治療を受けた場合、国民健康保険が適用される場合があります。これは留学中の日本人であっても、国民健康保険の被保険者であれば該当します。

 

ただ問題なのは、その場で適用されるわけではないということ。海外から保険請求できるわけではないため、留学期間中の医療費は全額自分で立て替えなければなりません。請求ができるのは帰国してからです。

 

帰国して日本国内で所定の手続きを行うと、現地で受けた治療や処置の内容を「日本で行われたらいくらかかるか」計算し直します。そして計算結果のその7割が返ってくるという仕組みです。つまり、現地で自分が立て替えた分のきっちり7割が返ってくるわけではないのです。

 

現地では全額立て替えなければならない上に、7割が返ってくるとも限らない・・・国民健康保険だけを頼りにするのは無謀といえるでしょう。

 

極めつけの理由:留学保険は公費留学や受入れの必須条件


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そして最後に、「絶対留学保険に入らなければならない理由」があります。

公費で留学する人や、留学保険への加入を義務づけている受入れ先に留学しようとする場合は、当たり前ですが留学保険に加入しなければなりません。「なぜ留学保険加入を義務づけるんだ」と納得できない人もいるかもしれません。しかし、留学費用を出す側の立場、受入れる側の立場を考えてみてください。

 

留学費用を出す側は、留学費用を出してあげるかわりに現地でしっかりと学んできて、帰国して日本の役に(あるいは学校・会社の役に)立って欲しいと願っています。それが、現地での不注意や慣れない環境が原因で病気やケガをしたり、他人の所有物に損害を与えたりして多額の追加費用が発生したらどうでしょう。

 

留学費用を出す側が気前よく追加費用を出してくれれば問題ありませんが、そうした費用を出すのはあなたに対してだけではありません。一人に対してそのような措置をとれば、他の同じような人の場合でも負担しなければならなくなります。

 

あるいは、留学費用を出す側は関わらずに、留学生自身で支払いなさいとした場合はどうでしょう。想像して身震いした方もいるかもしれませんが、全額を本人が自費で負担するとなれば、留学先で遣う予定だった資金は一気になくなってしまいます。

 

その結果、あなたは留学を続行できずやむなく帰国するか、帰国を許されていない場合(途中で帰国したら留学費用のすべてを返済しなければならない等)は、非常に苦しい生活状況に置かれることになるのです。

 

いずれにしても、留学費用を負担する側としては大きな損失です。万一のそういった損失をまかなえるように、留学保険への加入が義務づけられているのです。

 

これは、受入れ先となる学校や企業・団体でも同じこと。いちいち留学生の健康や家財に関する費用をもっていたら破産してしまいます。かといって「自己責任」で放っておけば、せっかく学びに来てくれた人を見殺しにすることにもなりかねません。

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留学保険に加入するということは、留学費用を負担してくれる人たちのために、そして受入れてくれる人たちのために、「もし万が一病気やケガをしても、アパートに損害を与えてしまったとしても、金銭的な迷惑はかけませんよ」という配慮をすることなのです。

 

「留学保険は保険料が高いから払えない」と感じる場合


 

留学保険への加入が他人への配慮であるとは言っても、留学保険の費用の高さには驚くかもしれません。保険会社や補償内容、留学期間によって保険料は大きく変わってきますので一概に言うことはできませんが、先ほどの仮想ストーリーに登場したA君のように、半年間の留学でアパートに滞在する場合は12万円〜13万円の保険料となる場合が多いようです。

 

ある保険会社のパンフレットでは、一般的な海外旅行保険で6ヶ月滞在する人向けの保険プランの料金も12万円〜13万円ですが、前半で述べたように、一般的な海外旅行保険ではアパートの設備を壊したりアパートに置いてある生活用動産を盗まれた場合の補償はありません。

 

そう考えると、留学保険だから極端に保険料が高くなるというわけではなく、滞在期間が長いから保険料が高くなると理解すべきです。

 

滞在期間のすべてを留学保険の対象期間とするなら、その高額な保険料を支払うしかありません。しかし、学校によっては独自に指定する留学生向けの保険を用意しているところもあります。そこで、もし現地で保険加入の手続きを行える自信があるなら、留学保険の費用を抑える方法もあります。

 

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それは、現地の生活になれるまでの期間は留学保険に加入し、現地の生活に慣れて問題がなくなったら学校指定の保険に変えるという方法です。学校が指定する保険の保険料は、留学保険よりも安い場合がほとんどです。留学生アドバイザーやカウンセラーが相談にのってくれるはずですので、保険の乗り換えをする場合はどこでどのような手続きをすれば良いか聞いてみましょう。

 

ただしくれぐれも、最初から留学保険なしで渡航するなどという無鉄砲なことをしないようにしてくださいね。

 

まとめ


 

さて、ここまで留学保険に入った方が良い理由について解説してきました。以上をまとめると以下のようになります。

 

 

    • 一般の海外旅行保険やクレジットカード付帯の海外旅行保険では住居のオーナー(家主)への賠償責任が補償されないため

 

    • 日本とは異なる生活文化で住居の設備に損害を与えてしまう可能性があるため

 

    • 日本とは異なる環境で体調を崩したりケガをしたりする可能性があるため

 

    • 国民健康保険の適用は帰国後の手続きが必要で、それまでは全額自費で払う必要があるため

 

    • 公費留学や一部の留学生受入れ先は留学保険への加入を義務づけているため

 


 

見知らぬ土地の見知らぬ文化や環境の中で、日本と同じように過ごせると考えてはいけません。「気をつけていれば大丈夫」と思っても、アクシデントは思わぬところで発生します。そして、多額の治療費や損失が発生しないよう常に気をつけ続けてお金の心配ばかりしていると、せっかくの留学なのに「何もせずに」帰国することにもなりかねません。

 

留学というチャンスを最大限に活かし楽しむために、留学保険には入った方が良いのです。

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